「沖縄のお墓」と「本土のお墓」の違い

玉陵 沖縄のお墓

沖縄と本土のお墓の違い① 【お墓の大きさ】

県外から沖縄に訪れた方が驚かれるのは、沖縄のお墓の大きさ。
住宅街や市街地などに突如現れる巨大なお墓を見かけて、公衆トイレと間違える方もいるとか。本土では考えられない大きさなのです。

このお墓のサイズ感が、沖縄のお墓と本土のお墓との大きな違いです。
本土では1平米の敷地に高さ約150cmが一般的な大きさですが、沖縄では3坪(約10平米)の敷地に高さ2m以上のお墓が主流で、お墓の前にはある程度の広さの墓庭が付いています。中には住宅のように何十坪もあるお墓さえあります。

4月の清明祭(シーミー)の時期になると、この墓庭にテントやブルーシートが広げられ、祖先供養で親戚が集い、ピクニックのように会食を行います。沖縄県民にとって、お墓は親戚との交流の場としても重要な場所となっているのです。

沖縄と本土のお墓の違い② 【納骨の仕方】

お墓の形状が異なっているのは、沖縄のお墓文化が中国の影響を受けていることもありますが、納骨の方法が異なることもその一因と考えられます。

沖縄では、お骨を平均7寸(約21型サイズ)の骨壷に納め、そのまま地上納骨をします。これは、沖縄は本土とは違い、亜熱帯性の気候で台風などにより激しい雨が降る事が原因だと考えられます。地下だと浸水する恐れがあります。そのため墓上部に納骨室(大きなスペース)が必要になります。
お墓の内部は、お墓の大きさによって違いはありますが、一般的にはニ〜三段のひな壇が設けられています。そして納骨室の奥の方には、合葬する箇所を設けてあります。
最近のお墓では骨壷を安置するひな壇の下にそのようなスペースを設けるようになっており、三十三年忌を終えた方はそちらへ合葬されます。

それに対し本土では(※地域差もあります)、お骨はサラシ(白い布)で包んで「カロート」という地下納骨室に安置されます。地上納骨室がない分、お墓もコンパクトになっています。

また、沖縄のお墓は「家」のような屋根付きのお墓が主流なのに対して、本土では四角い墓石を積み上げ、一番上に「●●家之墓」と彫刻された墓標が乗ります。
お墓参りをするときは、沖縄ではお骨が眠る墓扉に向かって手を合わせますが、本土では墓標に向かって手を合わせます。ここも大きな違いですね。

このように、同じ日本でも、本土と沖縄では異なるお墓文化ですが、ここ最近では、霊園の普及により、両者の主な特徴をとらえた本土風沖縄墓(和琉墓)のお墓も多く見られるようになってきました。時代の変化と共にお墓の形も少しずつ変わってきています。

清明祭(シーミー)。墓前でピクニック!沖縄琉のにぎやかなお墓参り

 

「清明祭(シーミー)」は、18世紀中頃に中国から伝来した文化で、二十四節気の一つである清明(せいめい)の節内に行う墓前祭のことです。

沖縄の年中行事の中でも重要な、祖先供養の催しです。

清明祭では、代々の父系の血族が眠る「門中(もんちゅう)墓」に一族が集まり、重箱料理やお酒、果物、菓子、お花をお墓にお供えします。

シーミー料理

 

お線香を上げ、ウチカビ(あの世のお金)を焼いて、お墓の土地の神様に対して感謝の意でお礼参りをし、ご先祖様の祖先供養を行います。

ウチカビ

 

親戚が一同に集まって墓庭に敷物を敷き、お供えしたごちそうをいただく賑やかな行事です。

まるで「お墓の前でピクニック」をしているような文化は、沖縄県外では見慣れない光景で驚かれる方も多いですが、沖縄では親族の親睦の場にもなっています。

清明祭は旧暦の3月(新暦の4月5日頃)の「清明の入り」を迎えた後、2週間の間で行われます。

現在では墓地が混み合うこともあり、期間が延長されて5月のゴールデンウイーク頃までの間、週末を中心に行われています。

沖縄で4月ごろに散策する機会があれば、沖縄のお墓を注目してみてください。お墓の前でブルーシートを広げて、楽しそうにご馳走を食べている人たちに出会えるかもしれません。